インプラント治療とは
インプラントとは、身体に埋め込む人工物のことです。歯科診療におけるインプラント治療は、歯を失った箇所に人工の歯根を埋め込み、アバットメントを取り付け、その上に人工歯を被せて歯の機能を補う治療法です。
インプラント治療は、人工の歯根を顎の骨に埋め込むため、抜歯によって歯根がない場合に適用できます。
インプラントの特徴
天然の歯に近い噛み心地
インプラント治療では人工の歯根を顎の骨に埋め込むため、まるで自分の歯のような感覚でしっかりと噛めます。入れ歯は、装着時の違和感や食べ物の温度が伝わりにくいなどの問題によって、食事を楽しめなくなる場合があります。
インプラント治療は、生体親和性に優れており、顎の骨としっかり結合するチタン製の人工歯根を使用するため、天然の歯に近い強さで噛めるのです。
審美性に優れている
インプラント治療に使用する人工歯はセラミックやジルコニアのため、美しい見た目に仕上がります。口を開けたときに銀歯や金歯が見えて、人との会話や食事を楽しめなくなるような心配もありません。
周りの歯に悪影響を及ぼさない
部分入れ歯は金属のクラスプを周りの歯に引っかけるため、健康な歯に負担がかかります。また、ブリッジは隣の歯を削って土台にする必要があります。インプラントは、一部の症例を除いて、周りの歯に負担をかけることなく施術できるため、健康な歯を守れるのです。
インプラントのデメリット
治療費が高い
インプラント治療は原則保険適用外のため、保険適用の入れ歯やブリッジと比べて治療費が高くなります。また、インプラント治療後も定期的なメンテナンスが必要なため、別途費用がかかります。
治療に時間がかかる
インプラント治療では、抜歯やインプラントの埋入、アバットメントの装着など複数の工程が必要なため、入れ歯やブリッジと比べて治療期間が長くなります。5回ほどは通院が必要になり、長い場合は治療に6ヶ月程度かかります。これは、インプラントと顎の骨が結合するまでに2ヶ月程度の期間がかかるためです。
外科手術が必要
インプラント治療では、顎の骨にインプラントを埋め込むために外科手術が必要なため、どうしても身体に負担がかかります。また、持病によって薬を服用していたり妊娠していたりする場合は、事前に歯科医師に相談が必要です。
感染症のリスクを伴う
インプラント治療には人工歯を使用するため、むし歯にはなりません。しかし、インプラントの周囲の歯茎に炎症が起こる「インプラント周囲炎」になるリスクがあります。歯周炎と同じように、進行するとインプラントが脱落する恐れがあるため、早期発見・早期治療が重要です。
入れ歯・ブリッジの比較
入れ歯
入れ歯は、人工の義歯で歯の機能を補う治療法です。
メリット
- 短期間で作製できる
- 保険適用の入れ歯なら治療費を抑えられる
デメリット
- 天然の歯よりも7~8割ほど噛む力が弱い
- クラスプをかける歯に負担がかかる
- 総入れ歯は歯茎を全体的に覆うことで食べ物の味や温度が伝わりにくくなる
- 入れ歯が合わない場合は噛みづらさや痛みが生じる
ブリッジ
ブリッジとは、失った歯の両隣の歯を削り、土台にして橋(ブリッジ)をかけるように被せ物をする治療法です。
メリット
- 固定されるため噛み心地が安定する
- 保険適用の場合は治療費を抑えられる
- 手術の必要がない
デメリット
- 支えとなる健康な歯を削ることで歯の寿命が縮まる
- 保険適用のブリッジは銀歯とプラスチックのため審美性に劣る
- ブリッジと歯茎の間に食べカスが詰まりやすいためむし歯や歯周病のリスクが高い