久しぶりにのんびりと休日を過ごしています。　

　生きてるかぎりはどこまでも

　探しつづける恋ねぐら

　傷つきよごれたわたしでも

　骨まで骨まで

　骨まで愛してほしいのよ

骨まで愛して（昭和４１年）

川内康範作詞　　北原じゅん作曲　　　　　城卓矢唄　　　　　

随分と古い歌ですが、氷川きよしさんもカバーしているようですから　もしかしたら若い方もご存じかもしれません。

インプラント治療を行っていて思うことは、本当に骨を大事にして欲しい、「骨まで愛して欲しい」ということですよ。

歯が抜ける　ということは、歯槽膿漏　その他で　骨が吸収しているのは当然のことなのですが、あと1年早く来院して頂けたら、　いや　せめて半年でも早く来院して頂いていたならばもう少し骨の吸収を防げたかもしれない　と思うことが頻繁にあります。

骨が多ければ多いほど　インプラント治療は簡単なものになります。　少なくとも私は楽させて貰えます。　

えっ　私に苦労させたい? ・・・・勘弁して下さい。

先日のオペにおきましては、紙のように薄い骨(下顎前歯部)を前にして　思わず頭を抱えてしまいました。

僅かに骨の厚みがある部分を　特殊な器具を用いて　針の穴を通すように回して押して広げて　骨の横幅を稼ぎ出し(REO＝リッジエクスパンションオステオトミー)　なんとか3ミリ径のものが埋入できました。

骨は外側の固い皮質骨と　内側の軟らかく代謝の活発な海綿骨に分かれますが、体を支える役目の大半は皮質骨が担い、海綿骨は生命維持に不可欠なカルシウムの調節機構などを行っています。

骨の横幅が薄い時には、機械でドリリングすると大切な骨が削れて無くなってしまいますから手用器具を用いて　ゆっくりと拡大して皮質骨を極力温存するようにします。

硬い皮質骨(コーティカルボーン)は、インプラントの初期固定、長期維持にとても大切なのです。

次の症例は、今週　オペをした若い女性の患者様です。キャンペーンの効果なのでしょうか　最近若い方からの問い合わせが　とても多いです。

　

　　　　　　　　Before 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 After

左図　歯の抜けたところは、黒くなっていますが、とても骨が薄そうであることを予見させます。

右図　案の定　骨が薄かったので　REOにて　４ミリ径、10ミリのインプラント埋入を行いました。

以前からお話していますように　歯の抜けたところは　放っておきますと　3ヶ月ほどで海綿骨が吸収してしまい、それに伴って皮質骨も薄くなってきます。

抜くと同時にコラーゲンスポンジを埋入(スキャホルドとして)するか、　早い時期にインプラント治療をすれば　骨の吸収は防げます。

人間の体は、生命活動を可能な限り維持する為に　不要となった機能は退化して無駄をなくするようにできています。　難しくは、廃用性萎縮と言いますが、今風に言えば　エコロジー　とでもいいましょうか。

歯が抜けて　適度なメカニカルストレス(歯で物を噛むという負荷)から開放された部分は、骨芽細胞(骨を造る細胞)による骨形成の低下　と破骨細胞(骨を吸収する細胞)の活性化を招き、徐々に骨が無くなっていくのです。

天然歯の 中切歯の咬合力　15.5kg

犬歯　　〃　　　27kg

第一小臼歯　　　39kg

第一大臼歯　　　65kg

第二大臼歯　　　60kg

　　◆　　総義歯での咬合力は１５kg程度

上記データは、灰汁までも統計的なデータですが　歯の噛む力を部位ごとに示しています。　勿論　個人差は当然あるのですが、最も負荷の大きな歯は、第一大臼歯(6歳臼歯)　　であることと　総入れ歯で噛むと　自分の歯で噛んだ時より　三分の一から四分の一　まで噛む力が衰えることだけ覚えておいて下さい。

それに比して　インプラントによる咬合力は最大８０kgまで耐えられるとの報告があります。

歯の抜けて骨の弱った場所に　インプラントを埋入して　再度　適度なメカニカルストレスを骨に加えれば　骨芽細胞の働きは再び活発化するでしょう。　丈夫な骨が甦るはずです。

　

歯の抜けたところに　インプラントをする意義　多少なりとも御理解頂けましたでしょうか?

もう少し解りやすいように　次回は　総入れ歯で説明してみます。

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学生時代によく聞いていた　米国のロックグループです。　「アマーイ」（現実は甘くないか）芸人さんではありませんよ。