丈夫な骨であるということは、健康維持の為に とても大切なことですよね。骨粗鬆症に因る大腿骨頚部骨折の5年生存率は50%にも満たないと言われています。
骨粗鬆症や糖尿病などに因って 骨代謝に異常が診られる場合、インプラント治療、その予後にも慎重な見通しを持たざるを得ません。
骨粗鬆治療において 現在ビスフォスフォネート剤が多用されていますが、ビスフォスは やがて 歯科のみならず大きな社会問題を引き起こすこととなるやもしれません。
それでは 食生活の改善において ビスフォスフォネート剤と同等な効果が得られる方法はないのでしょうか。実は古来からの日本食の中にそのヒントを見出せることができるのです。
まずは骨の構造をある程度理解して欲しいのですが、 骨はコラーゲンからなる骨基質に、カルシウムとリン酸の結晶(ミネラル)からなる骨塩によって形成されます。
建物にたとえると、コラーゲンが鉄骨の骨組みであり、カルシウム、ミネラルがセメントのようなものであるといえるでしょう。 マンション建設において まずは鉄骨の骨組みがあって そこにセメントを流し込むことで最高の強度が得られますよね。 骨も一緒です。
骨基質と骨塩の密度をもって骨質と言いますが、骨質は年齢と共に低下するのは避け難いことなので、 若い時に骨質のピークをなるべく高くもっていくことと、 骨質の低下スピードをなるべくゆっくりしたものにすることが大事になってきます。
骨基質を強化するには、ビタミンK2(メナテトレノン)が最も有効であります。
骨芽細胞で合成される骨基質蛋白であるオステオカルシンは、ビタミンK不足状態では、グルタミン酸残基がγ-カルボキシグルタミン酸残基に変換されないため、骨基質に取り込まれず低カルボキシル化オステオカルシンとして血中に放出されるといわれています。
骨塩量低下抑制には ビスフォスフォネート剤が 現在用いられていますが、 糖尿病と同様に細小血管障害を誘起しますので 特に下歯槽動脈経由以外に補給路のない下顎などにおいては、重篤な骨炎症を起こす可能性があります。
ちょっと難しくなりましたね。ここからが本題です。
骨基質を強化するビタミンK2が含まれている食品は 世界中で納豆が唯一であるという凄い事実があります。
納豆には骨吸収を抑制する大豆イソフラボンと骨形成を促進するビタミンK2の両方が含まれているのです。
日本のお年寄りは欧米のお年寄りと較べて、骨量が少ないにも拘わらず 骨折率は低くなっています。
更に厚生労働省の調査によりますと、中高年女性の骨折する割合は、北海道や東北、関東で低く、京都や鳥取、愛知といった、西日本は高いという、西高東低の傾向があるそうです。
昔から納豆を食べてきた関東や東北地方では少なく、あまり食べる習慣のなかった関西地方など西日本が、とくに多いことが明らかになったのです。つまり、納豆消費量の多い地方ほど、骨折の発生は低いのです。
納豆の力は実に偉大であります。現在 世界中で長寿食として一番関心がもたれているのが納豆なのであります。
恥ずかしながら西日本出身の私は納豆嫌いであります。これからの食生活に納豆を導入せざるを得ませんね。
念のため言っておきますが、私は納豆業界とはなんの癒着もありませんよ。
さて、皆さんは みかんは好きですか? 私は大好きです。
私たちが食べている温州みかんは、400年ほど前に鹿児島で生まれた日本原産の果物ですが、何故か中国の地名・温州の名前がついています。
蛇足ですが、さつまいもは、鹿児島では からいも(唐芋)と言っています。
温州みかんには、β-クリプトキサンチン(β-CRP)というカロテノイドが多く含まれています。β-クリプトキサンチンには、骨塩溶解抑制作用、骨石灰化促進作用があります。β-クリプトキサンチンの素晴らしい効力は今後明らかになることでしょう。
プロテタイトは、主に魚の鱗に含まれていますが、 リセドロ(ビスフォスフォネート剤)と同等の素晴らしい骨質改善効果のインビトロ報告がなされています。
β-クリプトキサンチンとプロテタイトの最強タッグサプリメントも開発中といわれています。
梅干し に含まれるクエン酸にはカルシウムや鉄分を腸管から体内に吸収しやすくするキレート作用があります。
クエン酸は、クエン酸回路(クレブス回路=筋肉内のミトコンドリアという細胞内でのエネルギー代謝経路)のスタートであり、エンジンの要であります。
納豆、温州みかん、プロテタイト(魚の鱗)、梅干・・・どうですか 古来からの日本食そのものではありませんか。
現在 世界中で日本食がブームとなっていますが、健康のことを考えると自ずとそうなってしまうのかもしれません。
健康、健全な骨質を将来に亘って維持する為に あなたもまずは 納豆、梅干し、ししゃもめざし あたりを食することからはじめてみませんか。
私も頑張って毎朝 納豆を食べるようにしてみます。