松田歯科クリニックでは、現在 週2回のペースでインプラント治療を行っていますが、年内のスケジュールが埋まってしまいそうなので 新規のインプラント希望患者様に対応する為に週3回ペースに変更することを検討しています。
ハードスケジュールに対応する為に 代診も検討しないといけなくなるかもしれませんね。矯正治療、保存治療に対応できる若い女医さん募集 ということでどうでしょうか。
さて 今週から幾つか非常に難しいインプラントオペが続きます。
殆ど骨が無い場合は、まずは 骨の厚みを人工的に造らなければなりません。
チタンメッシュと呼ばれる柵を既存骨の上に作って その中に骨補填剤を注入していきます。更に骨欠損部の近くにインプラント体を1本埋入してメカニカルストレスによる骨形成を期待します。
ディストラクション(仮骨延長術)より単純なメカニカルストレスの掛け方になります。
骨補填剤による骨形成は即効性はあるのですが、頑丈さということでは自分の骨には敵いません。メカニカルストレスによって自らの骨の形態を変化させ、骨に厚みを出すことは非常に有用であります。
メカニカルストレスは最も強力な骨形成因子なのであります。
では メカニカルストレスとは一体なんなのでしょうか。
歯を抜いた後、その部分の骨は急速に無くなっていきます。物理的な刺激(メカニカルストレス)の無くなった骨や筋肉は急速に衰えるのです。これを廃用性萎縮といいます。
実際、無重力状態に長期間存在した宇宙飛行士や入院などの寝たきり状態では筋肉や骨の機能低下が顕著に診られます。
メカニカルストレスは、骨や筋肉だけでなく、循環器、神経など多くの組織の発生や機能の制御に重要な役割を果たしていることが知られています。
再生医療においても、培養皮膚・線維芽細胞・骨・血管系細胞などにメカニカルストレスを加えて培養したほうが顕かに 様々な増殖因子やサイトカインなどの蛋白質の発現が増強され、増殖能が活発になることが知られています。
当然 メカニカルストレスの悪影響もあります。
例えば 高血圧というメカニカルストレスは、 血管平滑筋の石灰化を起こします。
癌細胞浸潤や転移における基質への接着にもメカニカルストレスが関わっているとされていますが、 接着部分から細胞の基質への接着部分から核内に移行する際のシグナルメディエーター(媒介物質)、細胞レベルでのメカニカルストレスの受容機構、細胞内シグナル伝達機構は、未だ完全には解明されておりません。
歯のことに戻りますと 自らの歯による咀嚼というメカニカルストレス、インプラントによるメカニカルストレス など生理的な範囲での継続的なメカニカルストレスによる刺激は、骨を造る細胞である骨芽細胞の分化を誘導します。
骨の形成プロセスにはまだまだ分からないことが多いのですが、 骨芽細胞は段階的に コラーゲンや オステオカルシン、オステオポンチン、オステオネクチン、骨シアロ蛋白、デコリンなどの蛋白質を産生し分泌することで 骨が形成されていくと考えられています。
インプラント治療は、生理的なメカニカルストレスを周囲の骨、筋肉に継続的に与えることにより、歯が無くなったことにより低下した 顎骨や表情筋の機能を維持、向上させる能力があるのです。
単に食べ物がしっかりと噛めるようになるだけではなく、筋力や皮膚の若さの維持の為にもインプラント治療を是非ご検討下さい。